まず初めに、コンタクトレンズは、近視・遠視・乱視を矯正する高度管理医療機器です。
しかし誰でも装用できるわけではなくその人の目の状態によって左右されます。つまり、コンタクトレンズを装用することによって目が危険な状態に陥ると予想される場合はコンタクト不適応と判断されます。
以下に挙げる症状の方はコンタクトレンズを使用できない人です。
■重症のドライアイ
ドライアイは目の表面の涙が少ない状態です。涙が少ないとコンタクトレンズのトラブルの危険性が高くなります。軽症・中等症のドライアイであれば
適切なコンタクトを選択すれば装用できることもありますが、重症のドライアイでは
どんな種類のコンタクトレンズでもトラブルの頻度が非常に高く、装用できません。
■アレルギー性結膜炎
結膜にアレルギーが生じている時にコンタクトレンズを装用するとアレルギーが悪化するので装用を避けるべきです。特にアレルギー症状が強い時はコンタクトレンズを装用してはいけません。いろいろなトラブルを招きます。
アレルギー性結膜炎の症状が長期間継続するような人は、コンタクトレンズ不適応となります。
■急性結膜炎
結膜に強い炎症が起こっている時はコンタクトレンズの装用を避けるべきですが炎症が治まれば装用可能です。ただし角膜上皮障害が後遺症として残っている場合はコンタクトレンズの装用ができないことがあります。
■角膜知覚過敏
角膜の近くが非常に敏感でソフトコンタクトレンズを装用しても異物感が強かったり痛みが生じたりしてどうしても装用できない人がいます。ハードコンタクトレンズで異物感が継続する場合は、コンタクトレンズのカーブやサイズが目に合っていないか、装用に問題があるかなので適切な処方を受け、一日の12〜14時間の装用を続ければ問題なく装用できるようになります。
■コンタクトレンズ眼障害
コンタクトレンズ眼障害の種類にもよりますが、眼障害には必ず原因があるので、その原因をはっきりさせることが非常に重要です。角膜に混濁が強く残っていたり、角膜内皮細胞が著しく減少していたり、装用を続行するのが危険と思われるときはコンタクトレンズ不適応です。
■小学生以下
コンタクトレンズを希望する小学生がふえています。しかし、小学生の目に
はどんな種類のレンズでも負担が大きく、装用は原則として避けるべきです。成長期にソフトコンタクトレンズをすることは非常に危険です。一日使い捨てソフトコンタクトレンズを100%安全だと勘違いし、重篤なトラブルとなった小学生もいます。
■装用用法を守れない人
コンタクトレンズを無理な時間装用したり、使い捨てソフトコンタクトレンズで使用期間を過ぎていたり、連続装用できないコンタクトレンズでそのまま寝てしまったりすると眼障害の原因となります。また、眼科医の指導した装用方法を守れない人はコンタクトレンズを装用する資格はありません。
■レンズケアが出来ない人
レンズケアを面倒くさがる人がいます。ハードコンタクトレンズは洗浄、ソフトコンタクトレンズは洗浄、消毒が必要です。レンズケースも管理が必要です。手抜きをするとレンズが汚れたり、微生物がレンズに付着して眼障害の原因になります。レンズケアを出来ない人は1日使い捨てソフトコンタクトレンズ、1週間連続装用使い捨てソフトコンタクトレンズ以外のコンタクトレンズを使用する資格はありません。
第20回サンコンタクトレンズ技術フォーラムに参加して
11月3日に開催されたサンコンタクトレンズ技術フォーラムより一部を報告します
■ソフトコンタクトレンズによって、角膜が変形した症例が報告されました。
今まで、ハードコンタクトレンズによって角膜形状に影響を及ぼすことは知られていましたが、ソフトコンタクトレンズによっても影響を及ぼすことがあるということです。
ソフトコンタクトレンズによって角膜が変形し、乱視が生じ、見えにくくなるという報告で、いずれの症例もソフトコンタクトレンズの装用を中止し、一週間後には改善されていました。
近年、各メーカーの使い捨てソフトコンタクトレンズのベースカーブが1種類しかないものも多く、ベースカーブがあっていないことが原因で角膜を圧迫し、角膜が変形したと思われます。ご自分の目にあったコンタクトレンズを選びましょう。異常を感じたらすぐに眼科を受診しましょう。
■コンタクトレンズの汚れについて
従来の素材のソフトコンタクトレンズから⇒シリコーンハイドロゲル素材のレンズになって
注意しなければならないこと!
シリコーンハイドロゲルレンズは、酸素透過率は非常に高いが、油に弱いということです。
ほとんどの化粧品やハンドクリームなどには、油成分が使われているため、気を付けなければなりません。
特に、化粧落としのクレンジングオイルは要注意です。コンタクトレンズを装用したまま、クレンジングオイルを使用したため、レンズにクレンジングオイルが付着し、レンズが汚れるだけでなく、変形してしまうことがあります。いったん変形したレンズはもとには戻らないので気をつけましょう。
こすり洗いとは?
眼科を受診したとき、販売店でレンズを購入するときに「こすり洗いして下さいね」とよく耳にすると思います。
実際、こすり洗いとはどのようにするのか?
初めてコンタクトレンズを装用する時に指導された記憶が遠くにあるようなないような・・・
長年コンタクトレンズを装用され、ケアもきっちりされている方には基本的すぎていささか怒りをかってしまいそうですが、この機会にもう一度確認の意味で読んでください。
☆正しい方法
まず、手のひらに十分の量の洗浄液を落とします。指のはらの部分をレンズに当て同じ方向にゆっくり前後に約10秒間、裏返してまた洗浄液を落とし、再び10秒間、この時に爪先がレンズに触れないように注意して下さい。破損の原因になります。(洗浄液によっては、10秒間が20秒間や、20〜30回こすり洗いするというものもありますので、使用方法をよく読んでからこすり洗いしてください。)
★誤った方法
指先で円を描くようにレンズをこすると破れの原因になるのでやめましょう。